香港でPHSは違法!なぜ?うっかり持ち込むとどうなる?

香港では2016年5月10日よりPHSが禁止となるのですが、その理由を探ってみました。

phs

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そもそもPHSとは?

PHSになじみが無い方のために、まずPHSとは何かをおさらいします。「そんなもん知ってるよ!H゛だろ?」という方は読み飛ばして次の章へ進んでください。
まずPHSは携帯電話のように外出先で電話をかけたりメールを送受信したりすることができる、携帯通信機器の一種です。PHSというと、その音質の良さと本体のバッテリーの持ちの良さから、日本ではビジネスマンからの支持も厚く、一時は携帯電話と並んで契約数を伸ばしていました。詳しい歴史については割愛しますが、総務省によれば最も多かった頃で約700万人が、2015年末時点でも国内で400万人以上が利用しています。(とはいえ、ここ2年で100万人契約者が減るなど、シェアの低下は激しいです。)実はPHSは日本で開発された技術で、NTTコミュニケーションズと伊藤忠商事が合弁会社を設立するなど海外への技術輸出も積極的に行われていました。
技術的に言えば、家にあるコードレス電話の「子機部分のみ」のようなものです。通常の固定電話であれば、親機と子機はペアになっているのですが、PHSでは多数の親機(基地局)をPHS会社が屋外に設置し、子機側(つまりPHS端末)がその中で最も近くにある親機を選択して接続するというシステムになっています。
スマートフォンを含む携帯電話の中には(当然ながら)電話をかける装置が搭載されていますが、実はPHSには電話をかける機能は搭載されていません。ではなぜ電話かけられるかというと、これも家庭用コードレス電話と同じで親機側(つまり基地局)にその機能を搭載しています。そのため、PHS端末はそれ自身で電話回線のネットワークに接続する必要はなく、近くにある親機(基地局)とさえ通信ができれば電話をかけられました。その結果、無駄な機能を端末側に搭載する必要がなかったので、軽量かつバッテリーのもちも非常に長時間だったのです。しかもPHSは技術的に高速化しやすかったため、当時の携帯電話と比べると圧倒的に高速な通信速度(3Gより早い!)を誇っていました。
ではなぜ、軽量、長時間バッテリー、高速通信と3拍子揃ったPHSのシェアが低下してしまったのでしょうか。これには諸説あり単純な要因でないと思いますが、最も大きな理由は携帯電話の爆発的な普及ではないでしょうか。当たり前の理由のように思うかもしれませんが、PHS全盛の時代は携帯電話が今のように一般に普及するとは考えられませんでした。サービスの面ではドコモがiモードで時代を作り、携帯電話を通信端末から情報端末へステップアップさせましたし、通信速度の面ではLTEが一般に普及し既存のPHSでは太刀打ちできない大容量高速通信を可能にしています。これらの理由からPHSは今のままではシェア回復は難しいのではないでしょうか。ウィルコムには頑張ってもらいたいです。

5月10日から単純所持も違法!!

さて、本題の香港のPHS禁止の話ですが、香港政府観光局の告知によると、実は香港では2013年からPHS廃止の方針を取っており、当時の利用者のための猶予期間として2016年5月9日までは使用が認められていました。しかしその猶予期間終了に伴って5月10日からはPHS機器の使用禁止となります。
香港では1997年にサービスが開始されたのですが、その普及は”not been successful”(つまり、失敗)だったため、ほとんど利用者がいない状態だったようです。ちなみに香港以外では、1つ1つの機器の安さなどからタイやベトナムなどの地域では合計1億人以上の利用者がいます。固定回線が整備されていないアフリカや中南米の発展途上国での普及も見込まれており、全く絶望的な技術ではありません。
香港では普及失敗に伴って2013年5月にはPHS機器の輸入販売が禁止されており、現在では街中で見かけることもないはずです。どうやら当局のパンフレットの記載を見る限り、香港では携帯電話としての利用よりも、屋内電話としての利用がメインになっているようです。日本国内でも「軽量・長時間バッテリー・弱い電波」という特性を生かして病院内の内線電話として多く利用されていますので、香港でも主にそのような使い方が一般的だったのではないでしょうか。
2013年以降、香港でPHS機器は販売されていませんが、それまで内線電話等で使っていた人々のために廃棄までの猶予期間が3年設けられました。その期限が2016年5月9日ということになります。もし5月10日以降、内線電話としてでもPHS機器を使用することはできなくなり、そもそも持っているだけでも違法となります。別に内線電話として屋内で使う分にはそんなに目くじらを立てなくてもいいように思いますが、もし持っていることがバレた場合、最大5万香港ドル(約72万円)と禁固2年の刑罰が待っています。
今回特に問題なのは、外国人が一時的に持ち込むPHS機器も罰則の対象となることです。例えばウィルコムのPHSを香港に持ち込んでしまった場合、香港で使用するつもりがなかったとしても先程の罰則の対象となってしまいます。

電波は限られた資源

今回の禁止と罰則適用は、それまでPHSが使用していた電波を別のサービスに割り当てるための措置ということで、1895~1906.1 MHzの帯域を利用する通信機器が違法となります。このことから正確にはPHS機器が違法というわけではないのですが、例えばウィルコムの場合は利用する電波帯域3つのうち、真ん中の周波数帯が今回の対象になるため、香港への持ち込みが出来なくなります。
電波は現在では限られた資源の1つとも考えられており、周波数ごとにある程度の幅に区切った上で各国でそれぞれの帯域ごとの用途を細かく定めています。新しく電波を使ったサービス(携帯電話事業への新規参入など)を行おうとする場合、その帯域の使用許可を得る必要があり、事業者間の取り合いになっています。数年前に日本ではプラチナバンド(800MHz帯)の取り合いが起きたことを記憶している方もいると思いますが、ワイヤレス通信の発達に伴って、電波利用を巡る利権争いは年々激しくなっています。
ちなみにトランシーバー用電波など、用途と出力を限定したうえで、免許を持たない一般人でも自由に利用できる周波数帯もありますし、場合によっては1つの周波数帯を別々の用途で使用している例もあります。例えば電子レンジとwi-fiは同じ2.4GHz帯を利用していますので、近くで利用すると電波が干渉して通信が遅くなる場合があります。このようなことが携帯電話や軍用無線などで起きないように、それぞれの国で用途と周波数帯が細かく定められています。
さて、現時点では香港で今までPHSに割り当てられていた周波数帯を次にどのようなサービスに提供するのかは公表されていないようです。しかしこれだけ厳しく取り締まるということは、既に次の周波数利用先が決まっているのかもしれません。

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